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エピソードF-1.03

 二人が片付け始めて1時間。屋外に2台の軍用車が止まる音に、二人は身震いした。
恐れていた人物が、イクス・クロノが到着してしまったのだ。
二人は互いの顔を見やり、大きく頷いた。
ファイディが時間を稼ぎ、陽蘭が残りの掃除をすることを確認しあった瞬間だった。
時間を稼がねば。ファイディの頭はそのことだけで一杯になっていた。
そのためか妹の成長した姿は彼の眼中には入ってこなかった。
イクス 「ファ・・・」
ダッ!とその場を駆け出すイクス。
4年ぶりに見る兄の姿は、鮮明に持っていた過去の姿を打ち消していた。
イクス 「ファイディ!!」
大きく飛び上がり、イクスはファイディ・クロノに飛びついた。
ファイディはそんな彼女をやさしく、だが思った以上の衝撃によろけながらも抱きとめる。
ファイディ 「うわっとと…。大きくなったなぁ、イクス。」
イクスを受け止め切れなかったのか、ファイディはその場にしりもちをついてしまった。
それでも、妹が尋ねてきてくれた事は嬉しいらしく、その顔はほころんでいた。
イクス 「あったりまえだよ~。もう4年も会ってないんだから………。」
イクスの甘えるような眼差しが、ファイディの心に突き刺さる。
今までほっぽいたまま、何をしていたのだと。
ヨハネ 「これこれ、イクス。ファイディをそんな眼で見ちゃいかんよ。でなファイディや、わしゃぁ少々疲れたでな。少し座らせてもらえんかの?」
ヨハネは自身の腰を軽く叩き、2日間強行のドライビングの疲れを訴えて見せた。
イクス 「そだね。家の中、案内してよ。」
イクスは兄の胸の上から立ち上がり、立とうとするファイディに手を差し伸べた。
ファイディ 「あ、いや。え~~~~と……。そうだ。みんな牛、見たくないか?」
歯切れ悪く、唐突にファイディがそう切り出したため、その場のみなが訝しがった。
 何故、家に入れたくはないのかと。
   がっしゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!ドカドカドカ!!!!!
陽蘭 「うぎゃーーーーー!!」
突然、家の中から食器や家具がぶち撒けられる音と、ファイディの同居人・陽蘭の悲鳴が轟いた。
 勿論、全員がその理由に納得がいった。
家の中がまだ片付いていないうちにイクス達が到着し、片づけが済むまでの時間稼ぎにファイディがみなを出迎えたというわけだった、はず。
見事に陽蘭がその状況を最悪な方向へとひっくり返してくれたのだった。
 家の中からは、どうしたらそんなに出るの?と聞きたくなるような埃と煙がもうもうと立ち上がった。
ファイディ 「…もう。あの家事ベタめ……。」
涙をちょちょ切らせ、肩を大きく落としたファイディが足取り重く我が家へと入っていった。
ヨハネ 「…手伝うかのぉ…。今夜の寝床がテントにならんうちに………。」
ファイディの後を、ヨハネが呆れ顔で続いていた。
先ほどの惨状である。
家の中がどのような現状かは容易に想像がついていた。
全員が疲れた身体に鞭を打ち、我がねぐら作りのために現場へと急行した。
そしてその呆れた惨状に目を白黒させる事となる…………。
エピソードF-1.03、了。

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